「てか白石!もう順番だから」
前の人のチケットチェックが終わって順番が回って来てしまい、
「翔真、わりぃ!!もう行かなきゃだって…」
列が進みだし、それでも翔真も追いかけるようにあとを追った。
「うん…!どうしても韓国行っちゃう前にやっぱり会いたくなっていうか、言いたくて」
「ん?うん何?!」
神崎に引っ張られながらも身を乗り出して翔真の方へと耳を傾ける。
「俺、絶対今日勝つから!!」
「ああ…!当たり前だろ。」
当然って顔して未茉がそう仕掛けるように微笑むと、
「未茉!!」
翔真も笑って大きな声でもう一度、聞きなれぬ名前で呼んだ。
「おう…!!なんだよ」
嬉しくてにやける彼女の顔を見て、翔真もつられてにやけていた。
そして、頷いて大きな声で…、
「勝ってウィンターカップの決勝トーナメントの代々木体育館で会おう!!」
「分かった!!あたしもアジア大会優勝してウィンターカップに帰ってくるな!!」
「うん!待ってる!そしたら…」
「そしたら?」
「付き合おう、俺達。」
「!!」
「それ言わないと俺始まらないって思ったら、気づいたら朝ここまで来てた!!」
必死でそう伝える翔真の姿に未茉は驚くも、ニッと微笑み、
「おう。代々木でな!」
それだけ力強く答えると未茉は笑顔で手を振りながらゲートの奥へと消えていった。
その答えに翔真も「やった」と微笑んだ。