「白石、おい!起きろ!」

わずか数秒で荷物を枕にしてイビキをかき寝てしまってる未茉を石井が揺さぶる。

「んーもう眠くて無理ぃ……おんぶ!」
「バカ!!私は湊じゃないわ!!」
「うぇーん…」
連日の疲れと睡眠不足で意識朦朧とする中、渋々起き上がる。

ブブブッ…
「白石!さっきからスマホ鳴ってるぞ!って。湊かよ。朝からチャラつきやがって」
さっきから鳴り響いていたスマホを拾い、着信画面を見て舌打ちしながら田島が渡すと

「んー…??」
寝惚け眼で目を擦りながら電話にでると、

「はぁい…」
『未茉ちゃん、今どこ!?』
「んあ…??」
『寝てるの?』
「いや…今起きたけど」
ボケボケしながら答えると、

「白石!!時間迫ってるから早く!!」
神崎に促され、出国ゲートの方へ無理矢理連れてかれる。

『どこにいるの?』
「え~…空港だけど…ふぁあ。」
あくびをしながら荷物を手にする。

『空港のどこ!?』

「どこって?神崎さぁーん!ここ空港のどこぉ?」
「出国ゲートのとこだろ!っーかめっちゃ混んでるなぁ」
ちょうど旅行客で賑わうシーズンの為に、ゲートに入るまで長蛇の列に並んでいた。

「出国ゲートのとこだってよ。」
「白石もうスマホやめなさい!」
「怒られたから切らねぇと」

『今から行く!待ってて』

「あ?!」

プッ、と突然わけわからず切れてしまったスマホを見つめると、
「どうしたの?」
隣にいた石井が覗き込む。