「残り20秒…」
ベンチでは、汗を拭いながら時計を見上げる。
「明徳がシュートにいける時間は残り14秒…」
この14秒でシュートを決めないと全国への扉は重く閉ざされてしまう。
14秒でゴールへシュートを打つのは簡単かもしれない。
14秒…この極限の状態でシュートを決めるのは、どれ程難しいことだろうか。
今度焦っているのは、明徳の方だった。緊張と心臓の音とこの追い詰められてる状況で監督の話など誰も耳に入ってこない。
ここまで来たんだ…
ここまでーー。
みんなの拳はグッと握りしめていた。
ただただ、ここで負けるわけにはいかない。それしか自分を奮い立たす言葉が見つからない。
明徳63対64大成
わずか一点差だが、自身4ファウルにも関わらず田島には勝機が見えていた。
「ここで決められるわけがない。うちはディフェンスだって東京ナンバーワンだ。ここをしっかり守れば、大成には6秒攻撃が残る。そして勝利に大手をかけられる。」
強気ではなく、ほぼ確信に近い断言すると、
「「はいっ!!」」
大成ベンチでは拳を合わせて力強い返事が響いた。
「そうよ。うちは全国で何度も一点差のゲームを繰り広げてきた。その勝負強さも自信も明徳にはない!!」
大成が持つ大きな強みだ。
工藤監督は、田島の背中へ念を込め軽く叩きコートへ見送る。
「あなた達三年の高校最後のプレーはこんなところで明徳相手に終わりじゃない。全国で、もう一度名古屋にぶつけて終わるんだ…!!」
三年間育ててきた監督の言葉を胸に大成ベンチも田島へと応援の声と拍手を届ける。



