「白石の奴…」
「未茉…」
傾きかけていた流れをまた引き戻したエースに石井も静香も怒りが湧く。


「よくこの時間帯に…焦りもなくなんて簡単に決めるんだ…!!」
「あれが日本代表のエースかよ…俺鳥肌たったぜ…」
記者達も思わず仕事を忘れて、この一進一退の攻防に茫然とする。

「白石君…!!よく頑張った。頑張ってここまできたんだ…!!」
神様小倉記者の目には、あんなに分裂していたのに一致団結した明徳に涙を滲ませていた。



そして一点差に迫った。

明徳63対64大成
残り54秒…


「…まだまだ勝負は分からない…」

滅多に感情を表に出さないキタローも珍しく冷や汗を流しながら息を飲み、数珠を握りしめながら目を閉じ見守る。

「痺れる…!!」
「みっみみ未茉様ぁあ…」
一年はもう恐怖と不安からの動悸に襲われ見ているのも辛い程で、
「同じ一年なのに…本当白石さん凄いよ…!!ベンチの私達なんて見守るだけでももう立ち上がることもできないのに…!!」
一体どれ程のものを背負って立っているのかと思うと計り知れなかった。

そんな後輩達の声を聞いていたベンチの二、三年も祈るように涙を溢し、みんなで震える肩を組み、コートに託した。