試合が始まってから第4Q残り2分を切る頃まで、大きく突き放されることも突き放すこともなかった。
明徳52対50大成
互いに一歩も譲らないわずかのワンポゼッション差リードのシーソーゲームが繰り広げられていた。
(もっと楽に勝てると思っていたのにーー)
フリースローで天を仰ぎながら息を切らす田島の本音はそれだった。
(最後のウィンターカップ、最後の大舞台、集大成…この私が全国に大成を連れてかないなんてありえない。絶対。)
ピーッ!
「選手、交代です。」
明徳ベンチから村越と代わり鈴木がコートに入ってきたのを、田島は見た。
(その為に、色んなものを振りきってきた。
ーーこの三年間バスケに捧げてきた。)
「白石を押さえろ。田島ーー。」
工藤監督も立ち上がり、祈るようにすがるように呟いてしまう。
もうここまで来たら、技も戦術ではない。気力だ。
最後まで諦めない、粘り強い気力。
「白石さん…!!みんな!!頑張って!!」
明徳のベンチでもみんなで汗だくの手を握り合い一瞬も目が離せないゲームに強く祈るしかなかった。
「はぁはぁ…」
「はぁ…」
互いの呼吸の乱れが聞こえるくらい、ボールを持つ田島と未茉は、目を見張っていた。
(三連覇ーー。その夢の幕引きは、自分と部員と高校の夢。この三年間東京で聞き続けたあの大歓声を譲るわけにはいかない。
最後の最後で…負けるわけにはいかない。)
「今や!!田島さん!!」
そんな気迫が仲間にも伝わったのか、静香がディフェンスを振り切り未茉にスクリーンをかけ、シュートコースを作る。
「!」
3ポイントシュートを放つも、外れるが石井がすかさずキャッチする。



