「白石ぃいい!!?お前その足どうした!?」

明徳女子を乗せたバスが会場に到着すると、野村監督は未茉の左足の湿布に気づき、大声を上げた。

「捻挫だよ。捻挫」
野村監督の悲鳴のような大声に鬱陶しそうに答えるが、
「捻挫ってお前…いつ」
「一昨日、翔真と1対1してたらよ。」

「捻挫する程、本気でしてたの・・?しかも男相手に。」
鈴木が呆れながら言うと、
「いやいや…ただのそこら辺の男じゃないですよ湊は・・」
相手が相手だよ・・・と三年はなんてことだと頭を抱えるも、

「捻挫なんて怪我じゃないから湿布貼っとけば治るもんだぜ。しかももう平気だし。」
ぴらっと湿布を剥がして、投げ捨て、
「しかし楽しかったな。アイツとの本気の1対1は♪」
ニッと思い出して能天気に微笑む。

「湊も何考えてんだか・・。白石が日本代表の試合も、この予選も控えてるっていうのに、怪我させたらどうすんのよ。」
少し苛立つ鈴木に対し、
「…いや。湊は自分のことよりも白石のことしか考えてないです。」
聞いていたキタローはそっと反論をした。

「その湊があえて本気で白石に1対1を挑んだのならば、きっと何かあるはずだと思います。」

「北君…」
キタローがそう言うならば、そうなのかもしれないと皆は少し納得して頷いた。