「1対1しよう。」

「1対1って、お前と?」

「うん。」
珍しすぎる誘いに、未茉は驚いた。


「結城から三分未茉ちゃんを好きにしていいっていう話を貰ったから。」

「三分!?ああ、あの落とし前の話か!?」
「そうかな。」
経緯まではよく知らない翔真はボールをゴールへと放ち、ネットを揺らす。

「お前があたしとの勝負にその三分を使うなんてな。」
ニッと面白そうに嘲笑うと、
「ああ、ごめん。キスとか期待した?」
「誰がだよ。期待じゃねぇよお前の考えそうなことだろ。」
「ん、まぁ、迷ったけど。」
「迷ったのかよ!?」
あははっと笑う彼女を眩しそうな瞳で見つめた。


「今、三分のキスじゃ全然足りないし。」

「…」

「やっぱりキスにしようかな?」

「あ?!たった一秒で迷うな!!てめぇ男らしく言ったならそこは1対1だろぉーがっ!!」
「ぷっあははっ!!」
おっとりと笑ういつもの翔真の穏やかさに、憎めなくて愛しくて未茉の頬は自然と緩み、優しい目に変わる。