「みっ…みみ未茉様まだ練習されるのですか?」
「おお、軽くな。今日は付き合わなくていいぜ。すぐ帰るから。」
みんなが帰った後、部室を出て体育館に向かう未茉に村越は声をかける。
「いっいえ未茉様が残るなら私も…」
後を追いかけて行くと、
「あれ?体育館誰かいんのか?」
明かりがついていた体育館のドアを思いっきり開けると、
「ぉわっ!!!」
誰もいない体育館でぽつんとすぐ側の壁に寄りかかって寝ている翔真が、すーっすーっと寝息を立てて眠っている。
「わっわわわたしはこれで帰ります!!未茉様お疲れ様でした!!」
(邪魔者は馬に蹴られてしまいます…!!)
空気を読んだ村越は一目散にその場を去っていく。
「あ、おい村越…」
脱兎のごとく走りさってく村越にため息つき、足元でぐっすり寝ている翔真に視線を戻し、
「おーいっ!!翔真!!こんなとこで寝てると風邪ひくぞ!!おい!!」
ゆさゆさっと体を揺さぶると、
「ん……」
眉をひそめながら霞む目を開ける。
「お、起きたか?」
覗きこむ未茉のアップの姿に、
「あ…未茉ちゃん…おはよ」
まだ寝ぼけてるのか目を擦りながらゆっくりと体を起こす。
「おはよってお前、もう7時だぜ?」
笑いながら言うと、
「んー…爆睡してた…」
「あ!!そうだ!!お前のおかげで追試まのがれた!!マジサンキュー!!」
「うん。知ってる。」
未茉がボールをつき、ゴールネットを揺らすと、
「未茉ちゃんのことを待ってた。」
振り返ると翔真はゆっくり立ち上がり、転がったボールを手にした。



