「まだ第1Qなのに…凄いハードなディフェンス…」
「白石代表の疲れとかないのかよ…」
「侮ってたけど、明徳はチームとして夏よりも何ランクもアップしてる。」
タイムアウトを取り、桜蘭は明徳を見ながら予想以上にチームとしてのまとまりに驚いていた。
「白石のやつ…」
夏までは手の届く位置にいたはずなのに…怪我明けなど微塵も感じず、国体でプレーした時よりもこんな短期間にも関わらず目に見えて桁違いで上手くなっている…
怖いくらいだ。
初めてユリは対戦相手のプレーヤーの成長に震える程の恐怖を覚えた。
「…ユリ、大丈夫。落ち着け。お前はいつも通りにいけば何の問題もない。」
そんなユリに気づき神崎は声をかけた。
「はい…!」
(…白石の武器は全国レベルのオフェンスだけじゃない。相手の判断力を崩しミスを誘うディフェンスだ。
それが原監督の教えによって更に脅威を増した。今のハングリーな白石に世界のレベルを経験させたことは大きすぎるほどの個人の成長をかなり促した。
きっとまだーー伸びる。桜蘭にとっては屈辱だが…正直、あれを交わせるのはエマくらいしか日本にはいない。)
ピッピーーッーーッ!!!
「オフェンスファウル!!!」
未茉にびったりとつかれていたユリは思わず体をぶつけ転ばす。
「ユリ!!焦るな落ち着け!!」
「…はい」
(マズイ…ユリが焦ってる。勢いをこれ以上つけたらゲームを支配される。)
神崎も立ち上がりベンチから声をかける。
「焦ってますね。神崎さん。」
隣のベンチの様子を見る新米斎藤に、
「ああ。彼女は多分もう分かってる。白石の本当の強みをな。」
肩を並べて座る野村監督は巧みな笑みで頷き、コートの選手達に目をやった。



