この温度が遠征中、恋しくて何度もフラッシュバックされていて、
「夢じゃねーなぁ…」
ゆっくりと目を閉じると未茉も抱きしめられた腕に、喧嘩してたことも忘れて不覚にも寄り添ってしまった。
「え夢?」
「翔真の夢、何度も見たぜ。」
「ああ、俺も。未茉ちゃんが追試受けてる夢とか。あ、夢じゃないか。現実だ。」
「ぁあ?!」
顔をあげて睨むと翔真はいつものようにあはははっと笑っていた。
「数学、これ前に公式教えたでしょ?」
「んなの覚えてねーよ。」
「教えたから。」
クゥン…とチビダンク達は二人の勉強姿を見守りながら眠りについた頃、
「まさかの明け方・・・」
もの分かりの悪すぎる未茉を相手にしていたら、すっかり空に太陽が顔を出していたことに気付き、翔真は絶句する。
「すぅ…」
目を離した隙に未茉も翔真に寄りかかり眠っている。
そのあどけない寝顔に微笑み、そっとベッドへと抱き上げ寝かしてあげると、
ワン…!と小さくチビダンクが吠えると、翔真は(しっ!)と人差し指を立てて子犬達の頭を撫でて静かにベランダから身軽に降りていった。
「さっ、やるかな。」
一睡もしてないのに、清々しい朝の日差しを気持ち良さそうに浴びながら空へと背伸びをし、翔真はウィンターカップ予選二戦目へと向かった。