「白石が追試ぃ!!?」

一方部活では、来週のウィンターカップ予選に備えて今日こそは未茉が交じった練習ができるかと思いきや、まさかの追試にキャプテン鈴木も肩を落とす。

「勉強教えてあげたいけど…追試生徒との接触は校則違反だし…」
はぁっと頭を抱える鈴木に、
「そもそも追試になるような奴はうちの部には入りませんよ。」
ふん。と矢野が冷たく突き放す。
「みっみ…未茉様ぁ…」
村越は泣きながら自分の無力さを悔い恨む。

「あれ?北マネージャーは?」
「白石の為に強力DHA入りのお菓子を作るって調理室にこもりっぱなしです・・」
「・・・。」


「聞いたかよ・・白石追試だってよ・・・。」

隣のコートまで聞こえてた情報に結城はあきれ果てている・・。
「通りで今日も教室来なかったのか…。予選まで出れないのは相当ヤバイな……。」
未茉の学力で一ヶ月も授業を受けてなかったらそれもそうなってしまうだろう…と三上は妙な納得もあった・・。

「うっ…」
突然、翔真がお腹を押さえながら、体を丸めて痛みを訴え出す。

「あ?どうした翔真!?」
「湊!?」
予選突破を控えたエースの不調に部員達は駆け寄るも、

「橘さん…お腹…痛い……帰って寝てもいいですか…?」
男バスキャプテンの橘の腕にしがみつき、苦痛で顔を歪め必死に訴えると、
「ええっ…!?そんなにか?!トイレ行って保健室で薬もらった方がいいんじゃ…」
「いえ、家に医者からもらった常備薬を飲まないと明日の試合にはこのままじゃ出れな…っうっ…!!」
「大丈夫かぁ!?湊ぉお!?」
エースの非常事態にみんなの顔色が一斉に青ざめ、

「気をつけて帰れ!!!」
「ありがとうございます!」
颯爽とお辞儀して突っ走って帰る翔真を見て、

「何が腹痛いだ・・・。」
「顔色めちゃくちゃいいぜ。」
結城と三上だけはその猿芝居をあきれて見ていたのであった・・・。