Aグループの一戦目のカタール、二戦目のチャイニーズタイペイ、そして三戦目の香港にも圧勝したU18女子日本代表は、グループリーグ首位突破が決まり、月末に控える決勝トーナメントを残し帰国となった。


『白石さーん!凄い活躍でしたね!一言お願いします!』
空港では想像以上の数の待ち構えていたファンと記者達に詰め寄せられるも、
「撮影は後程行いますが、選手の体調面を考慮し、今回は会見行いません。」
選手団側がそう打ち切るも、記者達は全く怯まずマイクとカメラを向けた。

『わずか一年生ながら、エマ選手と並びエースとして大活躍を果たした白石選手ですが、桐生君のことは触れられなかったですね~』
『メンバーの中林選手の話だと三角か四角関係だとか?』
『気になりますね~!!アクエリのCMではエマ選手と桐生選手の二人ですがね…』
『しかし、彼女達の活躍はグループの中でも群を抜いて…』


「すっげー………なんだよ・・一気に有名人じゃん・・。ある意味でかもしんねーけどよ!」

空港での模様が昼間のワイドショーで数分だが流れるのを結城はスマホで見てると、未茉が別世界の人のように感じ少し面白くなさそうだ。

「東京トップから全国トップからの日本代表のスターダムを一気に駆け上がったよな。」
改めてその凄さを確認する三上は、


「約一ヶ月会えずに長かった?翔真。」

この間ずっと音信不通だった翔真に尋ねると、

「いや、時間は足りないくらいだな。」

バッシュの紐を通しながら、真剣な眼差しで答える翔真は、ウィンターカップ東京予選の会場にいた。
インターハイからの順位を元にして勝ち抜きトーナメント戦で東京強豪の8校と戦い、たった一つの切符を争われる。
初戦から東京強豪のトップ4の東並高校との対戦だ。

「…勝って、運命の王子学院とだな。」

会場に入ってきた別コートに散らばる王子のスター兄弟を見つけると、視線に気づいた健も強気な笑みで返した。