「白石!!喋ってんな!!集中しろよ!!簡単に抜かれんな!!!」
ベンチから神崎の怒号が飛ぶも、聞こえちゃいなかった。
「未茉はプレイヤーとして私の足元にも及ばない。」
「あ…?」
「NO、バスケットプレイヤーとしてのライバルなんかじゃないわ。」
「なんだよそれ。」
「敵うと思ってる?そのレベルで。この私に。」
ユリからのパスを受け取り未茉がボールを手にした瞬間、
「おもしれぇ。見せてやる。」
ドリブルでエマを挑発した。
…ダム…ダム…
「誰にも負けねー。バスケだけは。」
ゆっくりとドリブルをついてく。目の前のエマをどう交わしてシュートに持ち込むか。1対1の勝負。
互いの目を見合って、指一本まで全神経を一気に集中させて細かくリズムをずらしたドリブルをついてく。
小さくキュ…とバッシュの音を鳴らした。
「!?」
一瞬反応が遅れるも、エマにすぐに追い付かれ、振り切ってシュートに行くが、伊藤と水越の二人に囲まれて憚れ、シュートを落としてしまう。
「てっ!!」
未茉は床に倒れたが、すぐに立ち上がる。
(少し力んだか…)
左肩を回しながら走り出した。
リバウンドをジャイコがすかさず取り、エリーへの縦パスでシュートを決められてしまう。
「にっ」としながら審判にエマはボールを渡すと、未茉はエマを睨みながら受け取る。
「クソ…」
自分のせいで立て続けに点を取られてしまった。



