「そんな時に結城君が、ぐいぐい来てくれて嬉しいとも思った…。ずっと駿君のライバルだった結城君と付き合ったら、私を気にかけてくれるんじゃないかって…でも結果、むしろその逆。完全に突き放された。」
自分の見せたくない欲深さに、沈むように閉じていた瞼を開けて、はっきりと言った。
「未茉、結城君はそんな私を分かってくれて優しくしてくれたの。私の方が最低なの。」
「…」
「殴られるのは、私の方。」
「…そうかもな。」
「うん。」
「いや、お前のことじゃなくてあたしのことだよ。」
「え?」
「あたしも最低でよ。人のことなんか責められねぇのに。」
健のことを殴ろうとしてしまったことを思いだし、どうしようもない未熟さに自分と重なって見え、やるせない横顔を浮かべている未茉を、
「…なんかあった?」
莉穂が覗き込むと、
「おう!でもくよくよしてたって仕方ねぇよ!!明るく行こうぜ!!」
暗い気持ち振り払うように、切り替え笑って莉穂の肩を抱き、
「大丈夫!結城のことは気にすんな!!あたしが莉穂の落とし前はつけてやるから!!」
「落とし前・・・」
未茉の落とし前ほど危険な胸騒ぎしか感じない莉穂であった。