「結城、交代だ。」
ベンチの野村からの指示で投入された二年に、
「でも!!」
悔しそうにするも、
「いいから。」
この試合一番の脚光を浴び、活躍する駿を見て渋々コートから去ってく。


ビーーッ!!
三上と翔真でなんとか巻き返しをはかるも、流れを取り戻すことはできず、試合終了のブザーが鳴り響き、結城は視線を感じて見上るとギャラリーには莉穂がいた。

「…」

その目を反らし、この試合チームハイの25得点をあげた脅威の新人としてカメラのフラッシュと取材に囲まれる駿の笑顔とは反対のチームベンチへと戻っていった。

試合は、スター兄弟の出場なしで、20点差をつけられ大敗してしまい、自身のミスも多く結城のショックは、はかりしれなかった。


「ここ数ヶ月の駿の成長は著しいものがあったよ。」

立ちすくむ結城になんて声をかけようかと思っていた三上に、様子を見ていた成瀬が声をかけた。

「成瀬さん…」
「アイツは、あの背丈があるにも関わらず、国体選手には選ばれなかったが、お前らが春で予選落ちした新人大会でもエースとして大活躍だったからな。」

「…」

「お前ら一年がいかに主力として活躍できるかにかかってるぜ。ウインターカップは。」

今のままじゃ、全国出場は程遠いと苦言をBIG3に残した。