「健くーー」
心配で体育館から抜けてきた実湖が探してた二人の姿を見つけると、涙をこすり拭った未茉が足早に通りすぎてった。
…何かがあった…と思い、急いで健に駆け寄った。
フェンスに寄りかかり、俯いた目が少し滲んだように見えた。
「大…丈夫…?」
「おう。試合は?」
「今大成が押してる…」
「そっか。」
切り替えたように寄りかかっていたフェンスから体を浮かせた。
「ごめん…あたしがあの時、キスしたからだよね…」
「ちげーよ。」
ふっと鼻で笑って歩き出した。
「ちがくない!!」
歩き出す健を両手で引き留めると、
「俺が大人になれねーからだよ。」
言葉にはならない寂しそうな背中を向けて体育館に戻っていった。
ビーーッ…!!
体育館では試合終了のタイマーブザーが鳴り響くと、
「86対81か…競ったな。」
ギャラリーから、匠が二チームを見下ろしながら得点を確認する。
「だいぶ明徳もBIG3を中心に力をあげてきたな。」
「ああ、だがうちには健もいる。ウィンターカップはうちが勝つさ。」
力強い言葉に成瀬はふとさっきの光景が脳内の中で蘇る。
「さっき…健、白石さんにとっさにケガしてた方の手出したろ…?」
「えっ?!」
誰も気づいていなかったのか、王子屈指のポイントガードでもある成瀬の洞察力に匠は驚いた。
「あんなに毎日必死にリハビリ通って一日でも早くバスケに戻ろうとしてるのに…あんな簡単に平気で切り捨てられるものがあるんだな。」
あの健にとって、バスケ以外にーー



