「待てよ!未茉!」

どんだけ全力ダッシュしてもすぐに健に追い付かれてしまい、
「おいっ!!」
腕を捕まれると、立ち止まらざるえない。
「離せよ!!」
その手を突っぱねて背を向けるも、

「お前妬いてんの?」
「あ?!」
「俺が神崎とキスしたの見て妬いてんの?」

「この面白くねぇ気持ちがそうならそうかもな!!」
言い直る未茉に健は少しだけ驚いたが、
「お前は湊と付き合って、俺は一人で指くわえて見てろって?嫌な女だな。」

「おう。お前が他の女と付き合ってるの見るの嫌なんだよ。」
「…ワガママだとは思ってたけど、それは傲慢っーんだよ。」

「分かってるよ!!うっせぇな!!切り替えるよ!!」
睨みながら怒鳴る未茉の手を引っぱり、フェンスに押しやると、

「じゃ二股でもする?」

「は!?」
まさかの発言に未茉は眉をひそめて、見上げる。

「俺はそれでも全然いいぜ?湊にも秘密でな。」
そんなスリルさえ喜びに変えて微笑む健に未茉は絶句した。

「何言ってんだ…お前・・・」
いつもの意地悪な冗談だと思ってたのに、顔が冗談ではなかった。