「おっ!!勝ってんじゃん!」

得点見ながら数点だが、明徳がリードしてるのを見て未茉は安心するも、
「まだまだよ。大成はまだ選手温存してるから。」
「!」
女の声に振り向くと、
「あ!?お前は確か実湖!!」
王子の制服を着たスマホ女子がいると思ったら、神崎監督の妹でモデルの実湖だった。

「お前なんでここに…」
「なんでって、王子の応援。」
健の腕に手を回してニッと微笑むと、
「未茉、危ないからとりあえず中入れ。成瀬ちょっと詰めて」
窓に捕まりながらだと危ないと匠は促すも、

「お前、この前健とキスしてたろ!?」

「「キッ・・・・!?」」
唐突すぎる尋問にそこにいた一同は思わず真っ赤な顔で反応し、同様を隠せない。

「えー…そうだったかなぁ?」
わざとらしくぶりっこして返答を濁す実湖に、プチ…と頭の血管がキレる。
「あぁ?!わざと見せつけるようにしてただろ?!腕相撲で負けたくせに!!約束したろ!?健には手を出さないって!!」
実湖の胸ぐらを掴みながら言うと、

「未茉、やめろ。」
後ろ姿でも分かるくらい少し怒ったような背中の健に言われると、
「あっそ、分かったよ。」
怒りに身を任せ、未茉ははしごを伝って降りようとすると、

ーーズッ…!
はしごを一段足を滑らせてしまう

「あっ!白石さ…!!?」
心配そうに見ていた成瀬が身を乗り出すと、
ーーグッ!!!
誰よりも早く未茉の手を引っ張ったのは、健の手だった。

「…!」
未茉はその手を振り払い、はしごを掴んで、さっさと降りてく。

「ったく…。わりぃ、ちょっと」
舌打ちしながら仲間にそう告げ健も窓に手をかけて、ひらりとはしごに乗り換えて降りてく。

「ーー…」
未茉が消えていった方角へと健が消えてったその光景を翔真もベンチから見ていた。