「!」

このパスが自分に巡ってきたこと。
それはこの試合の勝負を託されたという意味を持つ瞬間だった。

田島の行けという視線に、
石井と静香の必死のスクリーンに、
ユリが頷く。
ベンチのみんなの熱い視線と、
応援席から届く声。


受け取ったこのボールには、ずっしりとみんなの闘志が詰まっていた。


ーーキュッ!!
バッシュを鳴らした床をドリブルスピードを上げて走りだす。
「「はえぇっ!!」」
「いけぇぇ!!」
東京のベンチ陣は、ここ一番の大勝負にみんなが立ち上がり声を出し、前原も祈るように汗ばんだ両手を合わせ願った。


エマをもう一度、越える。

「絶対…!!」

越えてやるんだ。

強い意思と闘志で残ってるありったけの力で未茉は高くジャンプし、空中でエマを交わしてシュートを高く放った。


「「「入れーー!!」」」

みんなが汗をかいた手を合わせて、そう祈った。
観客もベンチも応援席も記者も、立ち上がってそのボールの行方だけを信じて。

勝利を信じて。