「うわぁぁあーん!!!障害物競争がぁぁぁあぁ~~~~!!!」

かむばぁぁぁあーーく!!と連れ去られながら未茉のわめき声は校庭に響くのであった。

(背中に下着のフォックのでこぼこの触感がない・・・。これは間違いない・・。)
危なかったと冷や汗が流れ、連れ去る翔真をよそに

「離せよぉ!!!バカ翔真ぁぁあ!!」
ぽかぽかと翔真の肩を叩きながら泣き出す未茉を、もぬけの殻の校舎の階段を駆け上がり誰もいない屋上にやってきて降ろした。

「ぬぁんで意地悪すんだよぉ!!」
苛立ちから床を足で叩く。

「意地悪じゃなくて…」
どうしょう。このTシャツの下はなまめかしい状態だと思うとそわそわとしてしまうが、
「これ。さらし布落ちてたよ。」

「あ?…ああ」
今気づいたのか未茉は自分の胸を触り、
「通りでスカスカすると思った。」
平然と言ってのけるので頭が痛い。

同時に目のやり場に困りながらもため息ついた。

「あのさ、」
「あ?なんだよ」
しかし彼女の脳内は途中放棄した障害物競争のことで頭がいっぱいだった。

「下着もつけずにTシャツ一枚で全校生徒のいる体育祭になんかいてほしくない。」
「なんで?誰も分かんなくね?あたし胸ねぇーし。」
「…」
全く気にもしない彼女の屁でもない態度に思わず睨んでしまい、
「そんなことよりもったいねぇ!!せっかく一位になれたのによぉ!!」
苛立つ未茉の腕を引っ張った。