「分かった!!ほらっ!!」

橘包囲網から脱出した翔真が未茉の手を掴んでゴールへと走った。

「翔真ぁあ…!!」
未茉はうるっとした目で見上げると、
「「こぉらぁぁ!!翔真!!」」
裏切り者への罵声が白の応援団からは飛ぶ。

「ああっ!!もう一位がゴールしそう!!」
青のハチマキの女の子がゴールテープに向かって走ってるのを見て未茉が焦り出すと、

「翔真!!おんぶして!!で、突っ走れ!!お前なら抜ける!!」
「それって・・いいの?」
「悪いなんて法律ねぇだろ!早く!!」
焦る未茉が背中に回って早くしろと叩く。

「はいはい・・。」
さっきも全力疾走してなんでまた・・と渋々おんぶの体勢へと屈むと、

「!!」

未茉が飛び乗り翔真の首に抱きつき、その反動で胸元がぎゅっと背中に当たると、翔真は忘れかけていたあることに気づいた。

「あぁぁあ……青がゴールしちゃう!!おい!!何してんだよ!!早く走れ!!」
背中を叩く未茉に、
「あ…あ、うん…」
急かされて走るも、背中の感触が気になって仕方なかった。