「全国の強豪かぁ…どうせなら名古屋第一とやりてぇよな。また。」
「できるなら福岡ともしてみたいっす。」
「いいねぇ名古屋のコーチ達も可愛かったし、福岡の女子コーチも見てみたいなぁあ!!」
橘が呟くと、ここぞとばかりに男バス部員達と新米斎藤は目をハートにしてウハウハ盛り上がるが、

「え………」
そもそも走ることに気乗りしない翔真にとって、
名古屋…、福岡…、強豪校との試合、合宿…、遠征…、
ワードが頭の中をぐるぐると回り、

(全くそそられない・・・・。)

不破や桐生などの顔が浮かぶとむしろ拒否反応が起きるが、

「沖縄行ったら泳げるね!!!」
「可愛い水着着て!」
「おーっ!!沖縄超いいな!それ!!あたしも亀と水中で一緒に泳ぎてぇ!!」

「水着…」
そのきらめくワードに翔真の耳はぴくりと反応する。
「よしっ!!頑張りましょう!!沖縄目指して!!!」
珍しく翔真が声をあげて身を乗り出す。

「お・・沖縄っ!!?」
さすがにそこまでの遠征の援助がでるかは分からない野村教頭は、怯んでしまうが・・・

「「おしっ!!沖縄だな!!」」
「ひゃっほぉぉーい!!白い砂!青い海ー!!」
祭りのように盛り上がる部員達に、
(せめて名古屋くらいを予想していたのに・・・しかもめったに出さない湊まであんなにやる気を出すなんて・・・)
と、想像を遥かに上回ってしまった部員達のやる気みなぎる姿に、今さら何も言えなくなってしまい、

「おしっ!!!積立金と援助金から足りない分は部費とこの私の懐から出してやろう!!次の遠征は沖縄だぁぁあ!!!」
身銭を切る恐ろしい震えにも打ち勝つくらいの大声をあげると、

「「いやったぁぁぁぁああ!!!勝つぞバスケ部!!!」」
部員達も全員で答えるが、

(前原さんの水着姿…)
(矢野さんの水着姿…)
(女子の……)
男共の脳内はほぼ女の子達の水着姿しかない。