「おはよー。」

「あ、おはよー白石さん。」
朝練が終わり、みんなと挨拶を交わしなら未茉はクラスに入ってくと、

「おはよ。」
机にうつ伏せになって寝てた翔真が、未茉に気づき挨拶だけするとまたうつ伏せになって寝てしまう。


「翔真、昨日のことだけど別にあたしの気持ちは1ミリもなんも変わんねぇよ。1ミクロもな。」

「…」
起き上がりもしないが、絶対聞いてるとは思って未茉は話を続けた。
「健のことが好きとかそんなんじゃねぇから。あれは。」

「…」
朝にしては珍しく深刻なテンションと内容に隣の結城も三上も聞く耳を立てた。

「なぁって。」
反応のない翔真に未茉が覗きこみ、肩を揺すると
「ん、分かった。」
怒ってもないが許してもないような読めない表情で答えると、目も合わさず翔真は立ち上がりどこかに行ってしまう。

「おい!!どこ行くんだよ。」
「落とし物届けに。」

「落とし物ぉ~!?なんだよあの白々しい顔はよ!!」
ドシンッ!と音をたてて机に座り自分でもどうしていいのか分からないもどかしさにイライラが止まらない。

「あれは相当怒ってるね。翔真」

肘をつきながら客観視する三上の見解に、
「・・う」
「昔から怒ると黙りこむっていうか。機嫌損ねたね。」
首を挟むのはもう疲れるのであえてドライな忠告に留まった。