病院の出入口のロータリーのすぐ側にベンチがあってそこに音楽を聞きながら待つ見慣れた大きなシルエットがあった。

「あっ翔真!?」
未茉の大きな声にイヤホン越しでも聞こえて顔をあげると、

「うん。」
「なんだ!!わざわざ来てくれたの!?」
嬉しそうに駆け寄り、翔真のふところに抱きつく。

「どうだった?」
「全然っ!!余裕!!」
「余裕って・・・」
果たして答えになっているのかよく分からないでいると、
「さっきね、健がいて」
「ああ、そうだよね。同じ施設だし。」
「あの実湖って女もいて」
「え?」

すると病院から出てきた健と実湖に気づくと、健もフッと微笑み背を向けてさっさとバスの方へ歩いていってしまうので、未湖も駆け足で追いかけ、

「健君っ!」
ぐいっ!と腕を引っ張って捕まえるように肩に手を置き、背伸びして
「!」
唇を押し当てると、目を閉じてそれに応えるように背中に手をまわしている。


「!!」


二人の光景に未茉は目を見開いて驚くも、


「おまっおまえら…!!なっ…なにしてんだよ!!ばかやろぉ!!!」
真っ赤になり思わず大声で怒鳴って駆け寄りそうになったが、
ーーグッ!
引き留めるように翔真が後ろから未茉の手を引いていた。