「え、湊君と村越さんが?!」

だが村越のクラスでは動揺する女子達の間でもう先程の話が広がっていた。

「白石さんがいない隙に二人で抱き合ってて…」
「何それー白石さん村越さんに優しくしてたのに。」
「もしかしてそれ狙いだったりして。」
「えーなんかそれショックだわ。白石さんに一途な湊君が好きなのに。」

思い思いに話し出す女子達の会話がクラスにいた米田達の耳にも入った。



「お、翔真。採寸終わったか?」

キタローの差し入れのパンを未茉は頬張りながら、戻ってきた翔真に尋ねる。

「うん。なんか村越さん貧血で体調悪いみたい。保健室に送ってきたよ。」
「えっ!!?なんだよそれ大丈夫か?」
「本人は大丈夫って言ってる。」
「ちょっとあたしも保健室に…」
「今休んでるから後で行った方がいいかも。多分寝不足だと思う。」


「ごご…ご迷惑をおかけしました…」

保健室に椎名と未茉は一緒に迎えに行くと、申し訳なさそうに二人に深々と頭をさげてお辞儀をしてる。

「大丈夫か?あんま無理してると体壊すぜ。」
「はははい…申し訳ありません…」
「もう。心配したよ。裁縫なら手伝うから言って!」
「うんありがとう…。」
二人の気遣いに嬉しそうに微笑み、

「じゃ無理しないでね。」
「うん。」
二限目が終わり未茉達と別れた村越はクラスに戻ると、

…シィンッ……

ざわざわとしていたクラスが村越が足を踏み入れた途端、静かになり、一斉に視線をぶつけられる。

「…」
異様な視線が自分の全身に突き刺さり、息を飲み込みながら、机へと向かった。

「せこい女。」

ヒソッと米田達の呟く声が聞こえた。