朝練が終わり着替えて体育館に戻ると未茉の姿はなく、翔真が一人村越を待っていた。

「あ…しし白石さんは…」
「北のとこ。パン食べに行くって」
「な…なるほど…」
村越は裁縫道具を取り出して、翔真の両肩幅をメジャーで計り出しメモをする。

「あれ…村越さんと湊君だ。」
「ほんとだ。」
女バスの一年の相沢達が着替えてクラスに戻ると体育館で二人に気づくと、

「「え………」」

村越が翔真の方へと体を寄せると、翔真が抱きしめている。
「ちょっと…!?」
その光景に驚き、
「やばいやばい」
まずいものを見てしまったと逃げるようにそっとみんな走り去る。

「何あれ、どういうこと…?」
「白石さんいない時にあの二人…」
「白石さんあんなに村越さんのこと気にかけてるのに………」






「…大丈夫?」


ゆっくりと、翔真が支えながら村越の体を引いた。

「す…すすみません…」
「寝不足なんじゃない?」
採寸中、屈んだ後に立ち上がると立ちくらみがしてしまい、翔真が支えていたのだ。

「頑張ることはいいことだけど、無理しないようにね。」
「ははははい…本当にもももっ申し訳ありません!!」