「早いとこ結城とは別れろ。」

「…なんで?なんでそんなこと言うの…?!」

「莉穂、駿はどうしたんだよ。」
「別れたって言ったじゃない。」

「互いに好きなのにか?!バスケの為に別れたのに、結城と付き合うってどういうことだよ!?駿の気持ち考えてみろよ!!」

駿の名前が出ると莉穂はやけに冷めた表情を見せた。

「駿はずっとお前のこと好きだったし、大切にしてくれてたじゃねーか!!今も好きなのになんでだよ!!」
「…想いの長さで付き合う相手を選べば幸せになれるの?」
珍しく莉穂が少し怒ったような表情で未茉に楯をついた。

「いくら長く想われてたって幸せとは限らない。未茉ならその意味が理解できると思ってたけど。」
わざと嫌な言い方で返してきて横目でちらりと試すように見てきた未茉の視線を睨みを効かし、

「あ?理解できないね。健と一緒にすんな。」
「…そういう意味じゃ」
「お前はもっと男見る目がある女だと思ってたよ。」
莉穂の顔は怒りがこみ上げ、かあぁっ…と赤くなった。

「…仮にも結城君は友達じゃないの?なんでそんな言い方…」
「ダチだから分かるんだよ!!!莉穂を本当に好きで幸せにできる男かどうかが!!ダチだからこそ分かりすぎんだ!!」

「…!」
「お前はあたしの何よりも大事なダチだからお前が傷つくことはぜってぇ許せねぇし、何があっても全力で止めるし、反対だね!!」
「…未茉…」

「もっとお前に似合った男を選べ!!」
そう言い放つと、家に入っていき玄関のドアを力任せにバンッ!!と閉めた。
「…」
残された莉穂はその場にしばらく立ち尽くしていた。