前半は未茉がボールを持つと水越とエマがWで押さえにかかってきてたが、後半はエマ一人でマークにやってきた。
それもさっきとは全く別人の気迫で。
「しまった…!」
一瞬のタイミングをずらしてしまうと、覆い被さるようなエマのディフェンスにラインギリギリまで激しいプレッシャーに追い込まれて、静かに押されてラインを出てしまった。
ピー!
ボールポゼッションは愛知ボールに代わった。
「「すっげーディフェンス…」」
「白石が押さえこまれたぜ…」
東京ベンチは驚きのため息が漏れた。
「エマさっきとはまるで別人じゃん…」
(悔しいけどいいディフェンスだな。)
久々にこんなにやられたなとどこか面白そうに笑うと、
「どんまいや」と静香に手を差し伸ばされ、
「おう。」と未茉は立ち上がると、
「恋する女は強いで」
「なんだ急に」
「はっきりいうたるからよう聞け。」
「?」
「エマは嵐が好きやちゅーことや。せやから未茉には負けたくないんや。」
「エマが嵐を!?」
だが未茉にとっちゃ凄く驚きだった。
一緒にガキの頃から世界征服を企んで裸で抱き合った仲の嵐が立派な男だったのか…と。
「サプライズ?」
マッチアップしながらエマも未茉の反応を面白がってるようだ。
「かなりのな。エマのライバルだって認められて嬉しいぜ?」
「…」
その返答に無表情に戻ったエマは、未茉のディフェンスを交わして、中へ切り込んで静香のブロックを交わしてシュートを決める。
「はや…」
細かなフェイクでまんまと抜かれてしまった未茉はため息ついた。
「残念ながらバスケとしてのライバルじゃないよ。」
「え?」
田島からのパスに未茉は走り出すと、鮮やかにエマにスティールを狙って速攻走られ、シュートを決められてしまう。
(スティールなんか前半一本も狙わなかったのに急に…)
目の色が違う。明らかにさっきまでとは違うエマを田島は感じていた。



