「お疲れ。白石まだやってくの?」
放課後、部活が終わると右手シュートを打ち込む未茉に前原が尋ねる。

「おう!パパからストレッチメニューと右手の練習メニュー作ってもらったんでそれやる!!」

「へぇ…」
プリント二十枚程の紙を捲りながら確認すると、細部にわたり細かく書いてあり前原も思わず見いってしまうほどだ。

「こなしていけば復帰した時、みんなに迷惑かかることなく入っていけるはずなんで!」
「…そう頑張って。じゃ鍵」
「ありがとうございまーす!!」

「ししし白石さん!私も付き合います…」
前原が立ち去ると、入れ替わりに村越がやって来た。
「おお、村越。時間大丈夫なのか?」
「ははははい!!白石さんのお供ができたら嬉しいです…」
「おーじゃ宜しく。」


「白石あとどのくらいかかりそうなの?」
女バス部室に前原が戻ってくると矢野が本人には聞けないことを尋ねた。

「今月はたぶんキツいと思うけど来月ウィンターカップ予選には間に合うと思うよ。」
「最近、いつにも増して練習してるけど。」

「…ウィンターカップでまず東京予選勝ち抜いて、“明徳”で全国出たいんだって。」
「…!」

「私達も、っていうか私達が頑張らないとね。」
そう呼び掛けると、二年全員で力強く頷いた。