「それは白石が怒るのも無理ない。」

二チーム交代制のサッカーの体育の時間に待ち時間に座りながらことの経緯をキタローに話すと、きっぱりと断言された。

「そりゃお前は白石よりだからだろ。」
冷たく結城は言い放つと、
「そうじゃない。お前が隠したってことがいけない。」
「は?」

「隠したってことは疚しさがあるからだろ。だからより前科極悪のお前が東条を傷つけるような付き合いをするというのが、白石には明確に写ったんだろ。」

「まぁそうだろうな。」
最もな意見に翔真も同意する。

「前科極悪・・・。」
ぴったりなネーミングにひきつる三上。


「白石に最初から堂々とちゃんと付き合うって二人で言えばよかったんだ。」
「確かにそうだね。」
益々翔真は同意しながら、サッカーボールでリフティングをしている。

「そうだけどよ…」
「でもそれほどの気持ちなんかねぇんだろ?」
言葉を詰まらす結城を見抜くキタローに
「…」
更に言葉を詰まらした。

「白石の前でこんなこと言えないけど、東条さんもずいぶん簡単に結城のとこいくんだな。しかも中学時代からの二階堂の宿敵の相手だよ?」

「そりゃ俺が二階堂よりいい男だからじゃん?」
ニヤッとし、カッコつける結城に、

「お前もライバルの男から女を取ってやろうなんて愚かな気持ちが少しでもあったとしたならば…お前は間違いなく幸せにはなれないし、誰も幸せにもできない。」

全てを見抜くようなキタローの言葉が突き刺さった。