「勝負?実湖と?」

「ああ。健を賭けてな。」

「健君を賭けて?そりゃ乗った。」
ノリがいい子なのか、すぐに腕捲りをして受けてたってきて、
「あ、匠君ムービー回して。」
角度を確認しながら匠にスマホを渡した。

「もし、あんたが勝ったら、あんたを健の女として認める。」
「…へぇ。白石さんが勝ったら?」
「健の女としては認めない。」

「!」
驚いたのは健だったが、
「でもいいの?湊君が泣きそうな顔してるよ?」
子犬を撫でながらすみっこでしょんぼりとしている翔真の姿を見てクスクスと笑ってる。

「いいんだよ!!これはあたしの問題だから!!未練がましい目でお前らのこと見たくないから!!」
「…」
「それに健の女はあたしが納得できる女であってほしいんだ!!絶対!」
「…分かった。」
マジな顔で言い放つ未茉の右手に構えた。

「…!」
握った瞬間で分かる。
「お前、中々だな。」
面白そうに血が騒ぐ未茉に、ニッと勝ち気な笑みで実湖が答えた。

「よしっ!!じゃ用意はいいかな?レディー達?」
清二が音頭を取ると、
「おう!」「はい!!」
二人が答えながら睨み合う。
「レディー…ゴォオ!!!」

掌に一気に力をかけあった瞬間、実湖の方に傾くも、
「おりやぁぁあ!!」
歯を食い縛り一気に勝負を畳み掛けたのは、

「勝者!白石未茉!!」

パパが未茉の右手を持ち高く拳をあげる。
「いっえーーい!!!」
「か・・怪力すぎる・・・。」
女じゃない・・絶対女じゃない・・とわりと握力には自信があった実湖も痺れた手を振るわせなざら絶句する・・・。