ネットから真っ直ぐにボールが落下してきた。



審判が得点をカウントするポーズを取ると、
「おっ…しゃぁぁあ!!」
「「うわぁぁぁあああっ!!!」」
まさか入ったとは思わず驚きのあまり口を開けたままのベンチと客席が立ち上がって、観客までが声を荒げた。

「「白石ぃ!!」」
ベンチのみんなも、その二点に感極まった。

「一人で何人抜いたんだよ!!あのサラブレッド少女!!」
「やっぱただ者じゃねーよ!!!」
観客達も目の前のプレーを信じ固いように目を疑った。

「はぁはぁ…」と息を切らしながら起き上がり、未茉はすぐに静香に駆け寄った。
「サンキュー」
「任せとけいうたやろ…?」
果てしなく乱れる呼吸を落ち着かせながら、もう喋るのもままならない静香だが、未茉にグーサインを送る。

「よくやった。守るぞ。」
田島と石井が二人の肩を叩きながら走らす。
「前園大丈夫か?」
ユリもエリーを押さえ、疲労と戦いながらうまく空間を作ってたから生まれたシュートだ。
田島も気にかけて声をかけると、

「大丈夫です…ここまで来て、一年には負けらんない。」

「当たり前だぜ。ユリ。翔真を譲ってやったんだ!死ぬ気でプレーしろよ!!」
そこへ未茉が舌を出して捨て台詞を吐いてく。
「…バカじゃん。言っとくけど…」
そう睨みながら言いかけると、

「その息やでユリさん…倒れた時が死ぬ時や…うちには愛のパワーがあるから死ぬことはな…」
ぜぇはぁぜぇはぁ荒い呼吸をしながら話す静香を、ユリは無視して置いてきぼりにして走り出す。

「って・・・最後まで聞きぃ…!!」