「よし朝練おーわりっ!!」

次の日、朝練が終わり体育館の更衣室で制服に着替えてロッカーを勢いよく閉めると、
「ん?」
村越が着替えもせずジャージだけ羽織ろうとしている姿を見て、
「おい!!制服は!?」
未茉に大声で訪ねられてビグッ!と体を震わす。

「…あの…私今日は帰ろうかと…」
荷物を抱き締めるように持ってそそくさと帰ろうとする村越に、
「はぁあ!!?部活だけ出て帰るバカどこにいるんだよ?」
「行くぞ!!」
村越を引きずるようにして廊下へと繰り出す未茉に
「らっ…乱暴しないでくださぁぁいぃ…」
小さく震えた声で抵抗する。


「何やってんだ白石・・」
「お前いじめか!?」
廊下で結城と三上に会うと、
「おう、コイツ部活だけ出て帰るとか言い出すからよ。」

「お願いします…帰らせてください…」
ひくひくっと泣き出す村越に
「おい、無理やりやめろよ・・泣いてるじゃねーか。」
乱暴なんだからよ・・と呆れてると、

「村越、米田達が怖いんだろ?」
結城が冷静に尋ねると、
「…いえ…誰が怖い……とかじゃなくて…今さら…クラスに行くのなんか…」

「だからってこのまま行かないなんてわけいかねぇだろ?」
「…うっ…」
「何かあってもあたしが必ず守ってやるから!!だから行くぞ!!」
強く腕を掴みながら断言すると、村越は一瞬驚く表情を浮かべるも、
「迷惑…じゃないんですか…?」

「そんなこと思うかよ!!仲間だろ!?」
嘘のない真っ直ぐに突き刺さるような言葉が胸に込み上げた。