「はぁはぁ…ははっ」

切らしきった息を整えながら翔真は思わず降参したように爽快な笑みで颯希に手を伸ばした。
「手も足も出ませんでした。ありがとうございました。」


「恋愛ごっこなんかしてる奴が見る空想が過ぎるな。」

冷たい目で敵に牙を向くような表情で出された手を再びはねのけられた。

「正義のヒーロー気取りか?アイツといると頭おかしくなったんだろ。遊び半分のしょうもないバスケなんか今すぐお前もやめろ。」

顔を上げた翔真に追い討ちをかけるように言い放つも、
「真剣です!!」
静まり返る中で、声を大にして言い返すなんてらしくない翔真が大声を出すから誰もが驚いた。



「バスケも、恋愛も真剣に向き合ってます。だから今日は絶対勝ちたいと思いました。」


「…」

「試合してくださり、ありがとうございました。」
真っ直ぐに深々と頭をさげて立ち去ると、
ぽんっ!と結城が肩を叩くと、
ぽんっ!と三上も肩を叩き、
「よく言った。」と橘も背中を押すように叩き、
「よし!よし!」
明徳部員達が次々に翔真を称えるように背中を叩いていく。