颯希がコートへ入って一気に流れが変わった。


「はっ…はえぇっ…!!」
ドリブルの早さも、パス回しのスピードも一人入っただけで桁違いでまるで弄ばれてるような感覚に陥る。

「あれが大学ナンバーワンプレイヤー…か。」
唸ってしまうほどのため息と共に皆颯希をの一人舞台を見るようだった。

そしてわずか二秒で、192cmもある結城の頭上からダンクを決めた。
ーーダンッ!!
弾みで結城はいとも簡単に吹き飛ばされてしまった。

「結城を…」
「ぶっ飛ばした…!!?」
明徳ベンチは嘘だろう…と目を疑った。

ピーッ!!!
「ファウル青6番!」
そして流れも悪く翔真もファウルを取られ、フリースローを決められこの試合初の十点差が開いてしまった。

ーーピシッ!と橘からのボールを颯希にカットインして、一気に走られ再びダンクを決められ、十二点差。

颯希が出てきてわずか十秒だった。
ボールを受け取った翔真に颯希がついた。
「…!」
身長はそこまで変わらない。
だがーー抜きどころを見抜かれているような気迫に襲われる。

(つぇえ…さすがに)

今までにマッチアップしたことないような切れ味のある本物を見抜いた翔真は身震いするような楽しさもどこかにあった。
「翔真っ…!!」
橘がパスしろっ!と抜けて名前を呼ぶも、
「ーー!」
大きく後ろへと一歩下がり、パスをするフェイクを入れて突き進もうとするも、前をを狙われる。

(時間がない!!)
迫る残り時間に打つしかない。と翔真はフックシュートを選択するも、颯希の腕を交わしきれず、リングすら捉えられずに、

ビーーッ!!!
試合終了のブザーが鳴り響いた。

十二点差で試合は終えてしまった。
颯希が出てからは、ほぼ明徳がボール支配することなく終わってしまった。