「マジか…王子大学が…」
「高校生相手に六点差…!!」
思いもよらない展開に実湖は、開いた口が塞がらなかった。

「これが…健君を負かした男か…そして白石未茉が選んだ男か…」
身震いする自分の腕を思わずつかんでしまった。

「健君とどっちが上手い?」
実湖の友人も興味があったからか聞くと
「健君じゃないかな?でも見てみたい…」
「マッチアップしたら凄そうだよね…」

(健君もそれを分かってるから、あんなにリハビリ頑張ってるんだろうな。)
見てるこっちだって思う。その戦いを見たいと。


「残り一分…」
タイムアウトをとると、翔真は時間を確認する。
「八点差…まさか本当に一桁点差に押さえられるとは…」
「正直、三十点差はつくとか思ってたけど…」
信じられねぇ…と橘も誰もが思わず翔真のその有言実行力と、その自信みなぎる姿に目をやる。

野村監督も息は上がり滴り落ちる汗の量を見て、
(…いや、余裕はないか。)
今までずっと一緒にプレーしてきたが、こんなに余裕のない翔真は始めてだった。
(当たり前か。まだ高一だ。それが大学生に食らいつこうとしてる。余裕などあるはずない。今翔真を突き動かしてるのは…)

意地しかないーー。


「行くぜ。」ブザーが鳴り、最後の気力を振り絞り立ち上がると、

「え……!?」

王子学院大学では颯希がビブスを着て準備している。
「まさか…」
「出るのかーー白石颯希…」

会場とベンチのざわめきをよそに、コートへと颯希が足を踏み入れた。
驚く反面、嬉しそうな表情を浮かべる翔真を見て足を止め、


「お望み通り、大敗を喫してやる。」