「あ、どうも野村さん。」

「こんにちは。予定を組んでくださり今日はありがとうございます。」
顔馴染みだったようで野村監督が王子学院大学の監督と握手をしながら挨拶をすると、
「うちも明日はT海大との試合があるので1、2年達のいいアップになります。」

「あ・・はぁ・・。」
(アップ代わり・・・。しかも主力の三、四年は出さないか…。むしろ見当たらない。相手は日本一の大学生だ。当たり前といえば当たり前だが。)

ちらりと翔真の方を見ると、緊張もなく楽しみにしてるというか、唯一勝とうとしている闘志さえ伺える。

大成辺りにその闘志をむき出しにしてくれればいいのにな・・・と緩キャラの考えることは分からず苦笑いを浮かべてると、


「湊、君がうちの試合申し込んだんだって?」

「あ…」

現れたのは、四年の白石颯希だった。

その圧倒的オーラが解き放たれるスターの登場に明徳部員達は羨望の眼差しを注ぐ。

(本当にあの白石の兄ちゃんなのか…)
とても同じDNAとは思えず信じられない視線と共に息を飲んだ。