ドックン…ドックン!!

一方、男子バスケ部員は心臓が飛び出そうなくらい緊張でガチガチに固まっていた。

「ゆ…夢みてぇ……!!」
東京渋谷に聳え立つ王子学院大学の体育館を見上げながら、結城はごくり。と音を立て生唾を飲み込んだ。
(いつか…いつの日かここに入学できるくらいまでに活躍して…)
バスケ日本一の大学を見上げながら自問自答してしまうくらいの高校生プレーヤーならば誰もが憧れる聖地だった。

「よしっ…行くか。」
気持ちを落ち着かせたキャプテンの橘がみんなに声をかけると、
「「はいっ!!」」
気合いいれて巨大な体育館の扉を開き、
「「こんにちはー!!!宜しくお願いします!!」」
明徳男子バスケ部一同大きな声で一礼をした。


「あっ、あれあの男…!!」

「実湖、どうしたの?」
体育館の二階の座席で立ち上がった。
「一昨日お祭りで…」
王子学院大学の練習を友人と見に来ていたのは、健と一緒にいた神崎の妹の実湖だ。

「へぇ。明徳のバスケ部だったのか。」
通りで…とその背の高さにも納得し、そりゃ余計に健君も…と何か過るものはあった。