「いっやほぉーいっ!いい天気ぃ!!」
雲ひとつない穏やかな秋晴れの早朝、未茉は張り切って休日部活へと向かった。

「おっはよぉおーございま…」
着替えて体育館の扉を開けようとすると、もうボールの音が聞こえてきた。
「はやっ!誰…」
開くとそこには、

「あ…!!村越ぃ!!!?」

前原と新米と話している村越の姿があった。
そして遠くから見守るキタローの姿もあった。


「うっ………!!」

指をさす未茉の姿を見るなり、怯えながらサッと新米斎藤の影に隠れる。
「おいっ!お前なんで…」
いいかけると、新米が未茉の前で制止し、
「極度の人見知りなんだよ。」
「んぁ!?」
人見知りなんて自分の辞書にない未茉にはそのデリケートさがわからない。
背は高いくせに前髪が長く顔が隠れていて目さえよく見えない。

「白石の父さんから野村教頭に連絡があってな。ずっと高校休んでること気にかけてて、昨日村越の方から高校に復帰したいという意思を聞いたから今日来てもらったんだ。」
「おお!!じゃ今日から部活復帰するのかぁ!?」
と、未茉が新米の影に隠れた村越を覗きこむと、

「っ…!」
サッ!と真っ赤になって震える顔を隠す。
「なぁ!?おい!」
それでも隠し続ける村越に、
「おいっ!!!」
と掴みかかろうとすると、
「やめろっつーの!!!」
ばこっ!と前原に叩かれる。

「あんだよ……顔見ないと、アイコンタクトとりずれぇじゃんかよ。」
「とりあえず、あんたが教育担当よ。」
前原に任命させられると、
「え……………!?」
不安そうに腰がひける村越は顔面が青ざめてよりガクガクと震えてく。

「おー!オッケー!!オッケー!!あたしに任せておけよ!!」
ばんっ!と胸を叩きながら村越の肩に手を回す。

「あれ?所で今日男子は?」
体育館にいない男子の姿に、未茉は目をきょとんとさせる。
「男子は午前中、練習試合だ。」
「練習試合?どこと?」