年に一度、クラブの宣伝も兼ねてバスケをもっと子供達の身近なスポーツへと。という願いを込めて、パパが開いているクラブチームのお祭りには、パパはもちろん、OBの方々もお手伝いに来ていてたくさんの人達が詰めかける。

夜になるとちょうちんなどの装飾がクラブの体育館一帯に飾られ、クラブの会員はもちろん保護者や、地元の小学生達や都民も集まり外の模擬店や催しを楽しみに人々が溢れ出す。


「はぁーい!!らっしゃい!!美味しい豚汁いかがですかぁー!!?」

クラブチームのお祭りが始まり、ママが朝から作った豚汁を未茉がメガホンで呼び込みして配り出す。

「わっ!!今日テレビに映ってたお姉さんだぁー!!」
子供達が未茉を指さしながら集まってくると、
「おう!!実物の方が可愛いだろ!?」
どや顔の仁王立ちでポーズをとる。

「うん可愛いー!さすが桐生嵐の彼女ー!!」
「ん~残念ながら彼女じゃねーなぁ。」
「えー」「もったいなぁーい」
「見る目ないんじゃないー?」
「あんなに凄い人なのにー」
「後継ぎできるねってママが言ってたよ~」
想像以上の大人びた返しに未茉もずっこける。


「「なんで俺らまで・・」」
すっかり手伝わされてしまったエプロン姿の結城と三上は渋々焼きそばを作りながら配る。
「早くしろよなぁ!!」
催促する子供達に、
(こんのぉクソガキめぇ・・)
心の中で中指たてながら。

「…俺が代わる。」
後ろから銀ベラを両手持ちして現れたのはキタローだ。
「おわっ!!お前キタローいたのか!?」
いつからいたのか、すっかり存在を忘れていて驚きながらたじろぐ。
「手際が悪い。」
と睨まれ、カチャッカチャッ!!としゃもじを交差して、片手でヒュルルッと空中で回して、手早く焼きそばを豪快に大きく振り回しながら作り出すと、

「「おぉおおっ!!すげぇっ!!かっけぇ!!」」
鉄板奉行のような鮮やかな手さばきに子供達の目を輝かせて感動していた・・・。