『では前原さんお願いします。』
「はい。」
こほん。と軽く咳払いをした後、マイクを手に取りゆっくりとした口調で話始めた。
『私は、今回初めての国体出場でした。そして横にいる白石が出場しなければ、私は国体選手に選ばれることはなかったと思います。』
開口一番みんな驚いていたが、橘や矢野や二年を始め、引退した三年の鈴木達も温かい目で耳を傾けていた。
『それでも小2から始めた大好きなバスケで全国を代表する国体選手に白石のサポート役であっても選ばれたことを誇りに思います。』
「え…前原さん…」
少しだけ胸がぎゅっと熱くなる未茉は驚いた。
隣の翔真も柔らかく優しい表情で前原の言葉に耳を傾けていた。
『私がサポートしている白石は、とんでもなくうるさく、声も大きいし、泣き虫で、暴れん坊でバスケ部一の問題児でもあります。そして今世間までも騒がせる人騒がせな奴です。』
「「わはははっ!!」」
会場中が笑いだした。
「あはは」と翔真も笑いだすも、
「くぅ・・・」
未茉は何も言えず唇を噛み締める。
『しかし普段のその姿とは裏腹にコートに立てば、まるで別人です。誰よりも一生懸命で、何よりも一番にチームメイト思いで、おせっかいな子です。私も最初は彼女のことが大嫌いでした。今もそんなに好きではありません。』
「ぬ・・ぁんでぇ!!?」
再び会場中が笑いの渦に包まれる中、再びガーンとショックを受ける未茉だったが、
『けれど天才天才って言われてても、一番上手くても一番練習するのは彼女です。怪我と戦いながらインターハイでも国体でもプレー面も精神面でも、計り知れないプレッシャーの中で一言の弱音も愚痴も漏らさず、一人で全て責任をも背負ってくれたのは彼女です。
もちろん託したのも私達です。』
前原の堂々とたる文面は、未茉のうわべだけを見てきた生徒達の誤解を晴らすようなそんな力強ささえも伝わってくるようで、聞いてる者達も聞き入っていた。



