「入学当初、私あまりうまく友達作れなくて、同中だったから米田達の仲間に入れてもらってた時期があって、私も一時期一緒に派手に遊んでたけど、やっぱり違うなって別の友達と仲良くなったけど、その子が米田達に目をつけられて虐められて登校拒否して…」

「…」

「私と仲良かったからだと思う。米田達が怖くて逆らえなかった私の責任もあるの。」

「逆らったらお前もそうなるのか?」

「分からないけど、そうなったら嫌じゃん!?」

「…」
その時のキタローの顔を見て、自分が小さいこと言ってるっていうのがなんとなく伝わった。軽蔑されるんだろうということも。 
「キタローの好きな白石さんなら、一人になったとしても逆らうんじゃない?」

嫌みに近い捨て台詞を思わず呟いてしまった。

「ああ。白石はそんな弱い奴じゃねぇからな。」
「…湊君達もいるしね。可愛くてモテる子は違うよ。だって一人になんかならないもん。」
(違う。こんなことが言いたいんじゃないのに…ムカついてしまう…)

「何言ってんだ。白石は可愛いからモテるわけじゃないだろ。」

ズキ…とする胸の痛みを押さえた。

「そんな卑怯な奴らに負ける奴でも誰かを頼るような奴でもないから、湊だって好きになったんだろ。」

ーーパシッ!!
「この無神経!!!」
思わず椎名の手はキタローの頬を叩いていた。
「白石さんのようになりたくたってなれない人だっているのよ…!!」
悔し涙を浮かべながら走り去って行った。