「椎名、なんで白石呼び出さなかったの?」
放課後、吹奏楽部に行く前に米田達に椎名は裏庭に呼び出された。
「うちら裏庭で待ってたんだけど。」
「…ごめん。やっぱり自主練があるって断られて。」
「はぁ?普通友達に頼まれたら引っ張ってでも連れてくるでしょ。」
「明日は必ず連れてきなよ。」
「じゃなかったら、椎名さんがどうなるか分からないからね。アイツみたいにね。」
「…!」
‘アイツ’と言われてビクッとする椎名は俯き唇を噛み締めていた。
「……」
パンを発酵していたキタローがまた調理室の窓から裏庭を見下ろしていた。
「…もしかして呼び出すのか?」
どうしていいか分からず一人裏庭でうずくまったままの椎名の元にやってきたキタローは尋ねた。
「!?」
その声に思わず顔をあげて驚き、
「なんで…聞いてたの?」
「ああ。」
「なんでアイツらの言いなりになるんだ…」
「そんなの決まってるじゃん…!!怖くて逆らえないのよ…」
そんな自分は自分だって嫌だって分かってるがどうしょうもなかった。