「あ、先生!俺もリクエストしてもいいですか?」
急に話に乗っかってきた結城も手をあげる。
「ん?なんだお前もやりたいチームあるのか?」
「はい。一年同士だけでもいいんで王子とやりたいです。」

「お、いいね!!」
それに反応し喜んだのは未茉だった。
「王子の一年かぁ。多分大丈夫じゃないか?オファーしてみるよ。」
「ありがとうございます!」
ニコニコで微笑む結城を見て、なんとなく浮かんだ仮想と共にたまらず三上が尋ねる。

「え、なんで王子・・?」

「…白石さん。次移動教室一緒に行かない?」
そこへ椎名が未茉の元に誘いにやって来た。
「ああ!いいぜ!女子はテニスだっけ?やっほーい!!楽しみぃ!!」
座っていた机から飛び降りシュッ!右手でラケットの素振りを始めると、
「うん…」

「どうしたの?なんか元気ないぞ。」
浮かない表情の椎名を未茉が覗きこむと、
「ううん、全然…」
「食べる?たいやきクロワッサン!めっちゃ美味しいから元気出るぜ?」
「…ありがとう。大丈夫。」
「たいやきなのにクロワッサンの食感なんだぜ!?凄くね!?」

興奮して話すそのクロワッサンは、キタローが白石のために…と思うと口には入れずらかった。

「椎名さんお待たせ!!」
未茉が荷物を持って廊下へと移動すると、
「…あのね、昼休み時間作れる?」
「昼休み?バスケの自主練あるけど少しならいいぜ!どうした?」
「あ、じゃいいの!!自主練して!!」
断る口実ができてホッとする椎名に、

「へ?いいよ。何。どうしたんだよ。」

椎名の様子が気になり、思わずその手を掴んだ。


「あ…」
廊下を歩いてると、米田達が歩いてきてその様子をじっと見ていた。
「じゃ、昼休みに!!」
わざと米田達に聞こえるように言って走り去ってく。
「え、あ…おい!!椎名さん!!?」

急に走り去ってく椎名に未茉は驚く。

「おーい一緒に行くんじゃなかったのかよ・・・」