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(嵐は、昔私がアメリカにいた時に一緒にいた時に知り合った。
母親が日本人で父親はジャマイカ人のハーフ。父親の仕事の都合で生まれた時から、中学三年までほぼアメリカで過ごしていた。
夏休みに嵐の両親がアメリカでバスケを教えに来ていて、嵐もその間にうちの中学に短期留学しにきていた。
「お前スゲーうめぇーな!しかもタメだし!」
私の試合を見た嵐がそう気さくに話しかけてきた。
「え、無視?あ、なに日本語通じねぇの?」
「…」
母親は日本語で話しかけてくる時もあるから言葉はわかるが、あまり人に話しかけられるのは好きじゃない。
しかも急に。馴れ馴れしい。
すぐにイヤホンをしてしまおうと思った。
「なんだよ。俺うまい奴とダチになりたくてよ!ま、じゃ次の俺の試合見てけよ!」
友達って…
しかも強引で馴れ馴れしくてありえないわ。と思っていたが、体育館でよく会うたびに
「よお、エマ」と勝手に話しかけてくるので話さずに一方的な話だけを聞くことにした。
「エマ、この前のサマーキャンプ見たかよ?超ーかっこよくね?」
一人で音楽聞きながら体育館裏でランチしてると、勝手にやってきてNBAの映像を見せてくる。
特に何も答えないのに、このシュートはこの選手のここが。とかああだとか。ひたすら手振り身ぶりで話してくる。
「エマ、またあの日本人に付きまとわれてるの?」
「あの留学生本当にエマのこと大好きね。」
チームメイトからはそう冷やかされた。
でも薄々そんな気がしないでもなかった。他にも日系人の子はいるし。
じゃなかったらあんなに……と。



