ビーっ!!
第4Qの開始10秒前のブザーが鳴ると、石井も復活した東京女子はコートに戻る。

だが、愛知はエマとエリーとジャイコ以外はベンチの控えを出してきた。

「…もう余裕ってことね。」
「勝負ついたわね。この時間に愛知に20点差つけられてたら、もう。」
アリーナから見ていた千葉女子達も勝敗を見届けることなく席を立ち始めた。


「4Qで逆転などありえない。」



「エマちゃんも恋する乙女なのね。なんか私まで嬉しいわ。」
いつもクールなエマちゃんに意外な一面があったのね♡とジャイコはベンチからコートに戻るエマに微笑むんだ。
「乙女…?」
聞きなれない単語に首をかしげる。
「ああ、ロマンチックガールってことよ。ふふ。」
「ロマンチックガール………」

嵐がいるであろうテレビ中継のブースをエマは見上げた。
中継実況のゲストをしていた嵐も画面越しにその視線に気づいた。

『桐生君はエマさんとは、アメリカ留学中の友達なんですね。どんな子でした?』
「人見知りでああ見えて自信なくて引っ込み思案で」
『えーエマさんが?』
「日本に来るのも最初はスゲー嫌がってたんです。」