「湊を選んだ理由は?健兄よりもなんで」
「いつも一緒にいてくれて好きだって言ってくれる。」
「あ?なんだそれだけか?そんなの誰だって」

「言えねーよ。アイツの好きはめっちゃくちゃ重い!お前言えるか?あたしに毎日好きって」
「い…言えるよ!!言おうと思えば…」

「バスケの試合で、ハーフタイム抜け出してあたしに応援してもらいたいって探しに来れるか!?」

「……!」

「何かある度に未茉ちゃんって追っかけてきて、いつも自分のことよりもあたしのことを見て好きだって全身全霊で言ってくれんだ。高校もあたしがいるからって明徳に来てくれたし。」

「…」

「ウサギみてぇな奴でさ、あたしがかまってやんないと死ぬんじゃねーかなって思う。マジで。」
「ばっ…かじゃん。そんな男!!大体男らしくねーだろ。女に振り回されるようなそんな男…」
「らしいとか、らしくないとかじゃなくて、あたしは嬉しい。そこまで示されて想われてることに。」

きっぱりと言いきる凛とした強い横顔にもう言葉がでなかった。




“女としての未茉がーー”


これが健兄の言ってた女の未茉ってことかよ…




ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン!!ピンポーンピンポーンピンポーン!!

「…だから、連打するなったろ?」

健が玄関の扉を開けると、がっくりと肩を落とした嵐が立っていて、

ポタポタと悔し涙を頬に溢している。


「…ったく。バスケで負けても泣かねぇお前が女で簡単に泣くなよな。」

ぽんぽんっと頭を叩きながら玄関に迎え入れた。
匠もその二人の姿を見て温かく微笑んだ。