TIPOFF!! #LOVE WINTER





それから一時間程、本当にリビングで放置されてしまった嵐は、キッチンからいい匂いが立ち込めてきて立ち上がる。

「未茉?」
「おう。ちょうど今出来たぜ?」
「は?」
「カップのケーキ。お前食いたかったんだろ?」
「!」
ラッピングもして紙袋にいれて手渡す。

「帰りの新幹線で食えよ。たくさん作ったからバスケ部のみんなに渡してもいいしよ!」
「…こんなの作んの…?お前が」
がさつな未茉がお菓子を作るなんて記憶は嵐の中でどこを遡っても、存在しない。

こんな女らしいことなんかするようになったのか…と思うと知らなかった一面に益々遠く感じてると、

「昨日初めて家庭科で作ったんだよ。あたしがお菓子なんて作ると思うか?」
「え…」
「だから貴重だぜ?」
ニッと笑う未茉に少しだけホッとする。

「仲直りしようぜ。嵐。」
なっ?と笑う未茉に、
「ああ…叩いて悪かった。」
未茉の頬に手で触れてさする。
「おう!」
涙が出そうなくらい嬉しかったのは、変わらない満面の笑顔が向けられたからなのかは、分からなかった。


「…好きだ。マジで。」

気づくと抱き締めてそう告げていた。