「白石さんどうかしたの?元気ないんじゃない?」

部活が終わり、一年がモップがけしてると、相沢がぼんやりとした未茉を気にして駆け寄った。

「あー。ちょっと幼なじみと喧嘩しちゃってさ。」
「そうなの?」
「おう。まぁ、あたしの思いやりが足りねぇつーか。恋愛とかになると余計相手の気持ちわかんねーっーか。難しいっーか…」
「へぇ…」

「生まれた時からずっと兄妹みたいに一緒にいたダチから急に好きって言われても、実感ねぇっーか、いつもの調子で話すと傷つけてることになるっつーか…、そういうのもうできねぇんだなって思うと、デリケートっつうか…」
混乱して頭をグシャグシャにかいてる彼女を見て、

(誰のことなんだろう・・・。)
と、ミーハー相沢氏の思わず詮索したくなる気持ちを抑え、

「私から見ると、男女でそんなに長い間友達でいられる方が凄いよ!」
「そういうもん?」
「年月重ねれば重ねただけ、今までのように友達でいられなくなったらどうしょうって不安だったと思うよ。」
「え…」

「だからその男の子、逆にずっと同じ状態を保ってたのかもね。辛かったと思うよ?」
「…そうか。それ聞くと益々悪いことしたな。つーか、マジデリケートだよな。恋愛って・・」
未知の領域にいるような気がして頭を抱える様子を見て、

「じゃ、あとは代わるから早く帰って仲直りしてきなよ!」

「マジか!ありがと…!!わりぃ、よろしく!!」
優しさに甘えて、ジャージを羽織りダッシュして体育館の出口へと急いだ。


「あれ、未茉ちゃん帰るの?」
校庭走ってきた男バス集団の翔真とすれ違うと、
「ああ!」
「自主練はしないの?」
「近所でする!じゃーな!!」
珍しく居残りもしないでダッシュで帰るので、翔真は不思議に思い、
「今日、元気なかったなぁ…」
ポツリと寂しそうに呟くと、

「アイツのことだから腹減ってたんじゃん?」
結城はどうでもよさそうに答えた。

「・・・。」