「健も似たような思い抱いてるよ。今は、少しそっとしてやってくれ、頼む。」

言葉にしたくてもできない計り知れない苦しみを抱いてる。

「……」
そんな匠の横顔はずるかった。
何も言えなかった。
同じ思いを抱いてる者として。



幼い頃、よく新しいとこに行くと暴走して一人迷子になる未茉をみんなで探すと、必ず健兄が見つけて帰ってきた。

アイツには魔法が使えるんじゃないかって、思うくらい。
必ず健兄が抱っこしてみんなの元に連れてかえってくる。

俺や、匠兄だって、必死で探してたんだ。
俺が絶対見つけるんだって。
必死で。

でも健兄の手に連れられて笑顔で帰ってくる未茉を見て、いつも俺らは同じ顔してた。
よかったけど、悔しい、むかつく。って顔だ。
いつも隣の匠兄を見上げると同じ顔をしていた。

俺らは鏡に映したように同じ顔、
そして今もーー。

でも、健兄はもっと…


「…そんな姿なんか想像つかねぇな…いつもすかしてやがるからなあの野郎。」
そう溢すと、隣で匠が微笑んでいた。


「俺は諦めねぇから。未茉のこと。」

だが、もう一度誓うように匠を見て言い放った。
「誰が一番アイツのことが好きでいようと俺は諦めねぇから!!」

「…ああ。わかった。」
呆れてるわけでもなく、少しホッとしたように匠は微笑み頷くが、キッ!と嵐は睨み、

「俺は匠兄みたいに、わけわかんねー女の下着姿の色仕掛けにのって諦めつくような男じゃねぇから!!」



「は・・・?!」